高次脳機能障害を学ぶ(1) 脳のはたらき編

3.脳の構造

用語をクリックすると、図中の該当する部分がハイライトされます。

 さあ、ここで脳の構造について少し勉強してみましょう。まず、脳の主な部分について理解しましょう。下図は、脳を真上から見た図です。脳は、真ん中にある大きな溝(大脳縦裂または大脳半球裂といいます)で、左半球右半球に分かれます。
 左半球と右半球は、色々な機能を役割分担していることが知られています。たとえば、手足の運動のコントロールは、左右の大脳半球が片側ずつを担当していて、右半球は左の手足を、左半球は右の手足を動かします。また、左半球は、言語、計算を得意とし、見たものの詳細な部分を捉えることに関わるといわれています。一方、右半球は、空間、風景、顔などの認識や、見たものの全体を捉えることに関与します。さらに、見ている物の右視野の情報は左半球に、左視野の情報は右半球に入ります。

 では、次に脳の内部を見てみましょう。下の図は、脳を縦割りにした図です。先ほどご説明したように、脳は右半球と左半球に分かれ、それぞれの半球は役割分担をしていますが、二つの脳がばらばらに働いているというわけではありません。右半球と左半球は、脳梁という部分でしっかりと接続され、お互いの情報交換を常に行い、共同作業しています。ですから、脳梁は、左右の脳が互いの情報交換をしながら機能を果たすための重要な連絡路なのです。また、脳には灰白質(かいはくいしつ)と呼ばれる神経細胞体の集まった部分と白質と呼ばれる神経線維の集まりがあります。灰白質は、脳表に最も近い部分で、ちょうど饅頭の皮があんこを包むように白質を覆っています。この部分は、大脳皮質(皮質)とも呼ばれます。また、灰白質は、大脳基底核と視床という脳の中心部にも存在します。白質は、灰白質の神経細胞から出た無数の神経線維とグリア細胞という支持組織で構成されていて、髄質とも呼ばれます。

 今度は、脳の表面を見てみましょう。この図は、脳の左半球を横から見た図(A図)と真ん中で切って横から見た図(B図)です。脳の領域は、脳にある溝を境に,大きく4つの領域に分けることができます。脳の溝の入り方は個人によって違いますが、誰にでもあって、最もわかりやすい溝は、外側溝中心溝と呼ばれるものです。中心溝より前の部分で外側溝の上の部分を前頭葉・A図前頭葉・B図、中心溝より後ろの部分で外側溝の上の部分を頭頂葉・A図頭頂葉・B図、外側溝のより下の部分を側頭葉・A図側頭葉・B図、そして、脳の一番後ろの部分を後頭葉・A図後頭葉・B図と呼びます。

 先ほど、脳は、左右の半球でそれぞれ役割分担が異なるということをご説明しましたが、皮質も、4つの領域がそれぞれ異なる機能を分担することがわかっています。ここでは、それらの主な内容について簡単にご紹介します。まず、前頭葉は、運動のコントロール行動の計画、人格や性格言葉の表出などに関わります。特に、眼窩部と呼ばれる部分は、人格や社会的行動に関わるとされています。また、言葉の表出に関わる部分は、ブローカ野とも呼ばれます。
 続いて、側頭葉は、聴こえた音を鑑別し、誰(何)が発した音であるか、言葉なら何と言ったのかを認識したり相手が話した言葉の意味を理解することに関わります相手の話した言葉の意味を理解する部分は、ウェルニッケ野とも呼ばれます。
頭頂葉は、主に空間の認知に関与しますが、身体感覚や身体内感覚、物の視覚認知知覚の分析・統合、計算にも関わります。 最後に、後頭葉は主に“見る”ことに関与し、光刺激から色、形、動き、明るさなどを感じて受け入れたり対象を注視し、追視したりすることに関わります。